ある大学病院から、手術で使用する器具を洗浄するウォッシャーディスインフェクターを更新したいという相談があった。その病院はこれまで他社の製品を使用していたが、村中医療器が他の医療器を提供するなかで、製品に加え手厚いサポートが評価され、声がかかったのだ。
病院の要望は、手術室の拡張に伴い器具の処理量も増えるため、それに対応する設備を整えること。大学病院であるため、求められる基準は高い。自社製品の性能面に関しては問題なかったが、担当する営業がこれまで経験したことのない規模で、どのような運用プランを提案すべきか、一から検討する必要があった。また、プランを練る過程で、現場の作業動線に改善の余地があることも判明。
そこで、上司から進め方や留意点のアドバイスをもらい、ときには同行もしてもらいながら、ヒアリングや現場調査を実施。その結果をもとに図面を作成し、何度も何度もシミュレーションを繰り返して、すべての課題や疑問点をクリアしていった。
周囲のサポートのおかげでやるべきことはすべてできた。そして、万全の準備をして提案を行った結果、当社製品の採用が決定した。
どんな小さな課題であっても、解決にむけて全力で取り組む。そんな“村中スピリット”が、すべての社員に息づいていることを実感できる瞬間だった。
相談を受けてから採用が決定するまでに要した期間は約3年。その間は課題が出ては解決し、また新たな課題が出ては解決するという繰り返しだった。しかし、その過程で社内だけでなく、大学病院の関係者との強いチームワークが生まれた。
採用が決まった製品が導入されるのは来年。これからが本番といえるだろう。このプロジェクトをまとめた営業担当は、お客さまの期待に応えるため、これまで以上に自己研鑽に励んでいる。
※インタビュー内容は取材当時のものです。(2021年12月)
手術で使用する脊椎テーブルの採用に向けて約1年かけて取り組んでいたところ、競合他社が同じような製品を発売したため、医師の意向で2社によるコンペを行うことに。
機能はほぼ同じ。競合は後発のため、安価であることをアピールすることが予想された。それに対して村中医療器は、導入後のアフターフォローの充実を打ち出す方針を固めた。これは継続的なお客さまのサポートを大切にする当社の姿勢に基づいたものであり、これまで地道に病院との信頼関係を築いてきたバックボーンがあったから。
プレゼン当日。別室で順番に行われるイメージとは異なり、競合の前で行うシビアなシチュエーションだった。先に競合のプレゼンが行われ、予想通り安価であることを前面に打ち出した。
そして、いよいよ自分たちの番。緊張で頭が真っ白になりそうになる中、気持ちを落ち着かせ、医師がこれまで行った治療内容に沿って、提案する製品を使うことでどんな効果があるのかを具体的に伝えた。もちろんアフターフォローもしっかりアピールした。
結果は、当社に決定。通常はコンペから数日後に結果がでるところ、即決だった。
「今日のプレゼンで、村中さんが医師の立場に立って考えてくれていることが改めて伝わってきた」
担当医師の言葉を聞き、嬉しさと共に医療の現場を支える責任の重さを実感した。
現在、提案した脊椎テーブルが使われており、定期的にアフターフォローを行っている。そうした中、医師から「製品はもちろんサポートも含め、村中さんにお願いして良かった」という声をいただいている。
そして、この案件の営業担当にとっても、しっかりと戦略を立てて思い通りのプレゼンをできたことが、セールスパーソンとしての手応えを掴んだターニングポイントになった。
ディーラーは「直販」と呼ばれる通り、病院に大型の機器から日々使用する消耗品まで直接販売する、医療現場に最も近い営業といえる。
当社で活躍する営業に、手術室で使用する器具を一式更新したいという依頼があった。その背景には、単に器具を新しくするだけでなく、将来的に器具の管理体制を強化し、運営上のロスをなくしたいという目的があった。
そこで最初に取り組んだのは、手術室で使用する膨大な器具に関する詳細リストの作成。これだけでも大変な作業だが、さらにそこから一つずつ、医師の要望にマッチした器具を選定しなければならない。取り扱うメーカーは数百社。迅速・最適な器具の選定は、ディーラーの腕が試されるところでもある。
このプロジェクトを担当した営業は、中央材料部の師長やメーカーと連携して、何度も打ち合わせをしながら採用する器具を決めていった。
その過程では、医師の器具に関する好みや価格など、さまざまな調整が必要であったが “手術をする医師にとって最も使いやすいこと=治療の質向上”という共通認識によって乗り越えることができた。
さまざまな立場や領域のプロが力を合わせることで、患者さんの力になる。それは医療に携わる者にとって使命であると同時に、仕事の醍醐味でもある。
現在、提案した器具は手術室で使われ、患者さんの治療に貢献している。管理体制の強化に関しては、長期的な取り組みであるも着々と下準備は進んでいる。
「サポートしていただいた中央材料部の師長からは現在でも学ぶことが多く、今後の営業活動に活かしたい」と、担当の営業は話す。
このプロジェクトがきっかけとなり、最近は何か相談事があれば、最初に連絡をもらえるようになったという。仕事が人を成長させ、さらにその人が仕事を成長させていく。そんな事例の一つである。